あまり難しいブレンドの技術を述べるつもりはまったくありません。
というか、そのような技術も知識もありません。
ただ、
「ブレンド」という言葉に私は強い思いと期待感を持っているのです。
日本酒の世界は限りなく若くてフレッシュなシングルカスクの酒に向かっており、
そのピュアでフルーティーな香味が、新しい消費層を獲得しています。
それは旧来の普通酒市場の飲まれ方とは違う、
新しい日本酒の世界を拓きました。
素晴らしいことです。
でも、
世界の素晴らしい酒に目を向けると、
そこには必ず「ブレンド」という言葉が介在しているように思えるのです。
私が最初に「ブレンド」という言葉の重みを覚えたのは、
フランスのシャンパーニュ地方に行った時のことです。
あれだけテロワールとヴィンテージにうるさいフランスのワインなのに、
何故かシャンパーニュはブレンドを基本として、
特殊な年にのみヴィンテージをつけてきました。
そして、
名だたるシャンパンハウスの味を守り育てるために、
気が狂うほどのテイスティングを繰り返し、古酒を含む数多くの原酒をブレンドします。
ですから、チーフブレンダーこそが要であり、シャンパンブランドの価値の礎になっているのです。
ウイスキーもそうです。
シングルモルトといえど、ブレンデッドといえど、
複数の樽をブレンドして、変わらぬその蒸留所の味を作り上げ、再現する作業は、
気が狂うほどのテイスティングを繰り返しています。
日本ウイスキーの父と呼ばれる竹鶴政孝も、息子の竹鶴 威も、
優秀なチーフブレンダーでした。
日本酒にも「調合」と呼ばれる工程があり、
ブレンドの責任者がいます。
レギュラー酒には、その蔵の酒と飲んだ人が分かってくれる味の再現性が求められます。
何本もの仕込みを四季にわたって行う大きなメーカーでは、
信頼のおける調合責任者が大切な役割を果たしてきたはずです。
この技術を日本酒はもっと大切にしたらいいのにと、
ずっと思っているのです。
剣菱・白鷹・菊姫のように、飲めばわかる酒。
いつ飲んでも裏切られない酒。
大人の酒の行きつくところは、
そんな方向なのではないかと思ったりするのです。
そして、
ブレンドはそれを可能にする大きな技術足り得るのではないでしょうか。
酒は混ぜるとうまくなる。
試しに、家でやってごらんなさい。
