デザインは、酒の売れ行きを決める大きな要素です。
「そんなことはわかってますよ」、とおっしゃる方も、
是非もう一度、自分の商品を見直して、
本当にこれで良いのかどうか考えてみて下さい。
デザインの意義とは、「伝える」 ことだと思います。
自分が商品に込めた思いや、表現したかった味わい、
そして飲み手にどのように楽しんで欲しいか、
そんな情報を、限られたスペースを使ってどれだけ的確に伝えることができるか。
それがデザインに求められているのだと思います。
デザインというと、カッコ良さと考えておられる方もおられると思います。
確かに「カッコいい」 とか 「おしゃれ」 という要素はあります。
でも、それらにしても、
やはり作り手が飲み手に伝えるメッセージの一部だと思うのです。
だから、
商業デザインは「ユニバーサル」で「合理的」な情報媒体であると考えるべきです。
では、酒にとって「伝えるべき情報」とは何なのでしょう?
酒を買う消費者が知りたがっているのは、
その酒がどのようなタイプの味わいで、
どのように飲むのが美味しいか、ということに尽きると思います。
さっぱりした酒なのか、コクのある酒なのか。
香りの高いさけなのか。
甘い酒なのか、とても辛い酒なのか。
おでんと一緒にお燗で飲むのがおいしい酒なのか、
白ワインのように洋食やチーズと楽しむのがおいしい酒なのか。
例えばおでんと飲んでおいしい酒に、
ブルーを使ったラベルや、可愛いくまさんのイラストが入っていても、全然ピンとこないでしょう。
色彩の与えるイメージは大きいものです。
そして、色彩は「イメージを伝える」という観点から選択されなくてはなりません。
色で伝えきれないものは、絵と言葉で補います。
これだけ日本酒がグローバルになってきているのですから、
英語の表記も含めて、必要十分な表現を是非検討して欲しいと願います。
例えば、甘い酒。
貴醸酒や甘口のスパークリングは、好みが分かれます。
これらには「甘口」とか「sweet」という明確な表現があってしかるべきと思います。
シャンパンにも、brut とか dolce という表現が使われているように。
それがないと消費者はとても不安に思いながら酒を買い、
辛口だと思ったらすごい甘口を飲まされてがっかり、ということになります。
これは絶対必要なことだと私は思います。
「さっぱりとした酒」や「コクのある酒」は、特定名称や「生もと」などの言葉で、ある程度表現できると思います。
味のタイプを示す表現のひとつという意味で、これらの言葉を表現する。
もちろん英語表記も含めて表現することが必要です。
特定名称や製造方法よりも良い表現があれば、どんどん取り入れたら良いと思います。
日本酒の業界は、
消費者に「伝える」ということを、長年にわたって怠ってきました。
ひとりよがりで上から目線のマーケティングを続け、
その結果多くの消費者を失ってしまいました。
日本酒の復権を本気で考えるのであれば、
やはり見るべきはマーケットです。
妙なプライドに縛られることなく、
虚心にマーケットを見て、
消費者が何を求めているのかを知り、
それを商品に表現してゆく。
今も昔も、ものを作る者の基本姿勢はそこにあるのではないでしょうか。
